2010年4月2日金曜日

医療費の現実

穿師吸引細胞診の検査結果を聞きにこられた方がいらっしゃいました。


その方は、70代で2年前にご主人を大腸がんで亡くされ、やっと気持ちが落ち着いたので自分の検診を受けようとMMGを受けられたのだそうです。すると、要精密検査のお知らせが届き、超音波の検査を受けにこられたのでした。

超音波検査のときにご主人の話しをされ、自分がもし癌だったら、もう治療をするお金がないからどうしようか...と言っておられました。
手術はなんとかできても、その後の治療が出来ない...と。それなら、手術せずにこのままの方が良いかもしれない..と。

超音波検査では前方境界線断裂、ハロー(+)後方エコーが増強しているD/W比の高い低エコー腫瘤が描出され、私は充実腺管癌を疑うと書きC5をつけました。腋窩リンパ節は肥厚しているものの明らかな転移とは言えず、胸骨傍リンパ節はinternal mammary area開大なし..でした。


穿師吸引細胞診の結果はclass5


その方への説明と紹介状を医師が書く時に、やはり金銭面のことを心配していらっしゃいました。

これは、切実な現実問題だと思いました。
今まで、検査を行ない早期発見を心がけて検査をして来ましたが、癌を見つけて終わるのではなく、その後の治療もまた患者様にとって大変なことが待っているのだという現実を改めて考えさせられました。
頭では分かっていたつもりでしたが、今回はこの患者様の言葉が心にズシッと響きました。
高額医療費の補助などの制度はあるのでしょうけど、放射線療法やホルモン療法、化学療法...どの治療法になるにしても高額な医療費になることは間違いないようです。

先生が説明されるのを聞きながら、何となく考え込んでしまった日でした。

2 件のコメント:

  1. 私も同じような状況の患者さんを何度も診療したことがあります。
    私の病院では無料低額診療制度を利用することが可能ですので、そのような患者さんは相談室に紹介して手続きをしてもらっています。
    もし、医療費の支払いが困難で治療を受けられないような状況があるのでしたら、この制度が利用可能な病院を是非紹介してあげて下さい(全ての病院で利用可能なわけではありませんので県庁に問い合わせてみると良いと思います)。

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  2. hidechin先生

    無料低額診療制度というのがあるのですね。知りませんでした。
    その制度によって、患者様の心配事が少しでも軽減され、治療に向き合う気持ちが出てくればいいと思います。

    今回の患者様の言葉は、色々考えさせられました。

    私の県でこの制度が利用できる施設があるのかどうか?よく調べてみます。
    ありがとうございました。

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