乳腺超音波で『ハロー』と言えば腫瘤の周りにある「高エコー帯」と言うことになっています。
腹部領域ではその逆で「辺縁低エコー帯」と言うことになり、ちょっとややこしいですね。
じっさい「halo」は観音様の頭部に光っている後光のことを指すんだとか...?
で、乳腺領域のハローですが、腫瘤のまわりに癌細胞などがバラバラと浸潤し、その後方散乱によりエコー輝度が上がることによって高エコーに見えるというものだと考えています。
なのでこのハローが見られると浸潤を考えるわけですが....
先日病理画像と比べている時に、腫瘤の周りにリンパ球の浸潤が起こって、それが超音波画像で辺縁が高エコーに見えるというものがありました。
この場合、ハローはあるのですが、いわゆる癌細胞の浸潤ではなくリンパ球によりハローが出来た。ということになります。
で、これは病理学的には浸潤ではないということになります。
とても興味深い所見だと思いました。そしてますます病理が面白いと感じました。
超音波の基本の物理の知識も必要だと感じました。
またひとつ、乳腺超音波にはまった症例でした。
2010年5月29日土曜日
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腫瘍周囲のリンパ球浸潤がハロー様に見えるのは時々経験します。うちの症例検討会でも何度か提示しました。
返信削除そのほとんどは充実腺管癌だと思います。髄様癌でもリンパ球浸潤を伴うことが多いのでハロー様に見えるかもしれません。
膨張性発育をしているD/W比の高い極低エコー腫瘤で充実腺管癌様に見えるのに境界部にハローがある場合には、周囲に硬癌様成分を伴っている場合より、リンパ球浸潤による場合の方が多いかもしれませんね。
hidechin先生
返信削除ありがとうございます。
私はこのリンパ球浸潤のことを知らなかったので、今回のこの病理画像は本当に勉強になりました。
思い返せば今までに圧排性発育の充実性腫瘤の周りのハローで?と思ったことが何件かありました。もしかすると、リンパ球の浸潤だったのかもしれません。
私は健診施設で超音波検査をしているので、自分の行なった検査の最終診断病理画像まで見る機会が少ないのが残念なのですが、やはり関連病院のカンファレンスになるべく出かけて行きたいと思っています。