2014年5月23日金曜日

またまた前方境界線


乳腺超音波検査を始めて6年、ずっと前方境界線って、なんだろうと思いながらやってきました。

教科書には必ずと言っていいほど書いてあるこの「前方境界線」
勉強会に出かけても当たり前のように語られる「前方境界線」

JABTSの診断樹でもかなり重要な位置を占めています。この前方境界線でカテゴリーが上がってしまうほどで、かなりの地位を獲得しています。
でも、実は私にはこの前方境界線がよくわからなかったのです。
はっきりしているところはいいのですが、線ってどれを追っていけばいいの?と思いながら検査することもしばしば...

病理の先生に聞いても、外科の先生に聞いても脂肪と乳腺の間に膜はないと言われます。
「境界線なんかない」と言われる先生の話も聞いたりして、さらになんだろう?と悩む日々でした。
検査をしていると脂肪と乳腺の境目にきれいに高エコーの線が見える人もいて、「これが前方境界線」と思える人もいれば、脂肪と乳腺の境界がはっきりしない人もいたり、同じ人でも場所によってちがったり...。

最近、ある本を読んで少しすっきりしました。
「だれも教えてくれなかった 乳腺エコー」という本です
書かれたのは、I先生です。(あえてイニシャルで)
以前からI先生は乳腺腺葉の境目の高エコーのことを言っておられましたが、その境目の高エコーの正体はなんだろうと思っていました。乳腺の腺葉の境に膜でもあるのかな?と思い外科の先生に聞くと、「膜はない」と言われるし..

ちゃんと本に書いてありました!
高エコーの正体は細い脈管が走っているんだそうです。動脈、静脈、リンパ管、間に入り込んだ脂肪...
機能的臓器単位の境目に見られる特徴的な構造だそうです。
おそらく脂肪に接している側つまり前方境界線もこれと同様に間質の集まりのような構造があるのではないだろうか?
乳腺の中に見える高エコーがはっきり見えたり、見えなかったりするように、この前方境界線のラインもはっきり見えたり、見えなかったりするんではないだろうか?
プローブの当て方によって線維がきれいに伸びていれば反射し高エコーに見えるのだろう..と。
もちろん脂肪と乳腺のインピータンスの違いで高エコーのラインが見えるのもあると思います。
乳房の中はいろんな構造で、いろんな組織で出来ています。エコーはインピータンスが変われば反射し、画を作ります。何を反射しているのか?何を見ているのか?日々悩みは尽きませんが、ちょっとだけすっきりしました。

明日からも頑張ろう